「総額2700億円」とうたわれた最先端研究開発支援プログラムが、鳩山政権によって大幅に変更される公算となった。
1人あたりの研究費が激減する見通しで、9月に採択済みだった30人の研究課題への打撃が懸念される。いずれも、科学技術立国の先導役として選ばれただけに、担う期待は大きいものばかり。
免疫の仕組みを利用した「抗体医薬」も、このプログラムに採択された。がん治療の飛躍的な発展に、東京大の児玉龍彦教授らが取り組む。
抗体は、体にとっての異物(抗原)を攻撃する免疫物質。体内でがん細胞だけを見分けて攻撃し、正常な細胞を傷つけにくいので、副作用が少ないと期待される。
しかし、従来の抗体医薬には、標的のがん細胞を見逃しやすいという問題がある。人工的に作った抗体が、がん細胞の表面に結合し、それを目印にして患者の免疫が攻撃する仕組みだが、抗体の結合量が少ないがん細胞は攻撃を免れてしまう。治療で一度はがんが消えたように見えても、生き残ったがん細胞が再び増え、手遅れになる。世界で250種類もの抗体医薬の治験が行われているが、成功例は少ない。
児玉教授が目指す新世代の抗体医薬は、この欠点の克服を目指す。ポイントは、抗体はがん細胞を見つけ出す役割に徹してもらい、がん細胞を殺す役割は別の薬に分担させることだ。
治療では、まず抗体医薬を注射する。続いて、この抗体だけに強く結びつく性質の放射性物質を注射する。放射性物質は、くっついた細胞を殺す力が強いので、少しでも抗体が結合したがん細胞は確実に退治される。体中に転移したがんも、細胞1個ごとにたたける。
抗体は、がん細胞に結合しやすい形を、コンピューターで設計する。また、がん細胞に結合せず余った分は、速やかに体外へ排出されるような物質にしておく。







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